株式会社ソフトウエア・サイエンス(SSI)

要件定義やシステム開発における現場ヒアリングの際に整えるべき5つの「マインド」の話

この記事は、要件定義やシステム開発の現場でヒアリングを担当しているものの、 「これで本当に合っているのだろうか」と不安を感じている方に向けて書いています。

この記事を読むことで、次のことが整理できるようになります。

  • なぜ、質問リストを用意してもヒアリングがうまくいかないのか
  • 要件定義で「聞いたはずなのにズレる」原因は何か
  • 現場から本音を引き出し、「本当に必要な要件」を見極めるための考え方

ヒアリングが難しく感じるのは、経験やスキルが足りないからではありません。
多くの場合、足りていないのは現場への向き合い方=マインドです。

要件定義の現場ヒアリングがうまくいかないと感じる理由

質問リストを用意しても要件が整理できない理由

ヒアリング前に資料を読み込み、質問リストをしっかり準備して臨む方は多いでしょう。

それでも終わったあとに、
「結局、何が課題だったのかよく分からない」
「情報は集まったが、要件に落とし込めない」
と感じてしまうことは珍しくありません。

これは、質問の数や内容が足りないからではありません。 質問を通して“理解しようとしている姿勢”が相手に伝わっていないことが原因です。

「聞いたはずなのにズレる」システム開発で起きがちな失敗

現場の要望を丁寧に聞いたつもりでも、後になって「それは現場の意図と違う」と言われる。

要件定義でよく起きるこのズレは、 言葉そのものではなく、背景にある前提や感情まで捉えきれていないことから生まれます。

ヒアリング後に「何か違う」と感じるのはスキル不足ではない

ヒアリングがうまくいかないと、
「自分の聞き方が悪いのでは」「経験が足りないのでは」と考えがちです。

しかし多くの場合、問題はスキルではなく、現場にどう向き合っているか=マインド
にあります。

システム開発の現場ヒアリングは「聞き方」より「向き合い方」

現場ヒアリングというと、 「どんな質問をすればいいか」に意識が向きがちです。 もちろん、聞き取りの技術も大切です。 しかしそれ以上に重要なのが、どんな姿勢で現場に向き合っているかです。

要件定義で本音を引き出すために必要な姿勢とは

現場の人は、流暢な進行や専門用語を並べることを求めているわけではありません。

本当に理解しようとしてくれているか 
評価や否定をせず、決めつけずに話を聞いてくれるか

その姿勢が感じられたとき、初めて本音や本当の困りごとが語られます。

現場の用語で会話できないとヒアリングは深まらない

ヒアリングでは、現場で使われている言葉で会話することが非常に重要です。 例えば、次のようなやり取りがありました。

SSIメンバー: 「機器の状態を監視する場合、このケースは xx(モ) の設定になりますか?」
お客様: 「今回は xx(テ) かな」   

xx(モ):モーメンタリー(ボタンを押している間だけONになる動作方式)
xx(テ):手元操作のこと

このように、普段の会話レベルで言葉を合わせることで、打ち合わせ後にふと気づかれた際、
「SSIさん、なんでそんなに現場のことを知っているんですか?」
と言われたことが何度もあります。
自分たちの言葉が通じていると感じてもらえなければ、会話はどうしても表面的なものになってしまいます。

【プロが実践】現場ヒアリングを成功させる5つのマインドセット

1.要件定義では「教えてもらう立場」で臨む

現場を一番よく知っているのは、現場の人です。 立場や経験に関係なく、自分は学ぶ側であるという意識が、良いヒアリングの土台になります。

2.ヒアリング中に正しい・間違いを判断しない

ヒアリングの場で結論を出そうとすると、相手は本音を話しづらくなります。 ヒアリングの目的は、正解を出すことではなく、現実を知ることです。

3.仮説を立てつつ、要件に固執しない

事前に仮説を立てること自体は重要です。 ただし仮説は、「当てにいくもの」ではなく、確認し、書き換えるためのものです。

4.「仕方ない」「慣れた」に隠れた業務課題を見逃さない

「運用で何とかしています」
「もう慣れました」

こうした言葉の裏には、不満や諦め、改善されていない課題が隠れていることがあります。 感情は、重要な課題のサインです。

5.ヒアリングの場で解決策を出さない

ヒアリング中に、つい「それなら〇〇機能ですね」と言いたくなることがあります。 しかしその場で解決策を提示すると、話がそこで止まってしまうことがあります。 ヒアリングの役割は、判断することではなく、引き出すことです。

現場ヒアリングのマインドが整うと要件定義の質が変わる

現場の要望をそのまま機能にしてはいけない理由

現場から出てくる要望の多くは、「やりたいこと」ではなく、「困っていること」への対処です。要望はあくまで手段であり、その裏にある目的を見極めることが重要です。

「本当に必要な機能」を見極めるための判断軸

要件を整理する際は、次の問いを自分に投げかけます。
・この機能がなくても、目的は達成できないか
・運用で代替できないか
・誰が、どのくらいの頻度で使うのか
こうして残ったものが、本当に必要な機能です。

機能を削ることでシステム開発の価値が高まる

機能は、増やすことで価値が生まれるのではありません。削ることで、初めて価値が際立ちます。現場に寄り添うマインドがあれば、「作らない」という判断も、現場に理解されやすくなります。

要件定義・システム開発で成果を出す現場ヒアリングとは

要件定義で本当に重要なのは、「何を作るか」よりも、「何を作らないか」を決めることです。 その判断を支えているのが、現場に寄り添い、理解しようとするヒアリングマインドです。

まとめ

要件定義・システム開発の現場ヒアリングで成果を出すために、最初に見直すべきなのは、スキルや経験ではありません。

「何を、どう聞くか」ではなく、「現場にどう向き合うか」。

このマインドを持てたとき、現場の言葉は単なる要望ではなく、判断につながる情報へと変わっていきます。
理解しようとする姿勢を持つこと。ここから、すべてが始まります。

補足:SSIの品質管理基準「PmSQETs」との関係

このヒアリングマインドの考え方は、 当社の品質管理基準「PmSQETs」における 『真のニーズ把握』の考え方と合致しています。 業務を「覚える」のではなく、「理解する」ことを大切にする。 それが、ブレない要件定義と、価値あるシステム開発につながっていきます。

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技術戦略室 清宮 正行